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文章を書くのは難しい……。

映画と本の感想を時々書いていきたいです。

2016年に観た映画をふり返る

昨年劇場で観た映画は十数本だけど、そのほとんどが観てよかったと素直に思える出来だった。自分の記憶の整理のためにも、少しでも多くの人にみてもらうためにも、何点かふり返って感想を書き留めておきたい。

 

■完全なるチェックメイト

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アメリカ出身の冷戦期の天才チェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの生涯を、そのライバルであるソ連出身の世界チャンプ、ボリス・スパスキーとの対戦を中心に描いた伝記映画。

本作品のフィッシャーは、当時人間の知性を象徴するゲームとされていたチェスという競技で、ソ連に水をあげられていたアメリカの、自国から世界チャンピオンを輩出したいという国家戦略に生涯を翻弄された人物として描かれている。

はじめはただ純粋に周囲の人々とチェスを楽しんでいたフィッシャーが、天才少年として頭角をあらわして行くにつれて、国の期待を背負い神経をすり減らしながらチェスを指さざるを得なくなっていく中、次第に周囲との人間関係がおかしくなっていく様が本当に観ていて辛い。*1

原題の「Pawn Sacrifice」が筋書きと完璧に合致していて、良いタイトル付けたな~という作品。何回でも見返したい。

 

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リップヴァンウィンクルの花嫁

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岩井俊二の最新作。高校の非常勤教師と家庭教師で生計を立てるナイーブな女性、皆川七海(黒木華)は、SNSで知り合った男性と流されるままに結婚するも、義母の策略によって離婚させられてしまう。職も住むところもなくした七海は、何でも屋を名乗る安室行桝(綾野剛)という男に、月給100万円という触れ込みで郊外の城での住み込みのメイドというバイトを紹介される。その城には里中真白(Cocco)という女性が住んでいて……。

2016年は良い映画が沢山出て、その中からベストを選ぶのは本当に難しいのだけど、それでも敢えて一作を挙げるならこれを推したい。

とにかく七海と真白の同居生活の描写が好き。真白を演じるCoccoのメンヘラ演技は流石だし、真白の陽性にあてられて変わっていく七海も最高だし、それを経てのEDも素晴らしい。

序盤の一時間くらいずっとストレスがかかってくるので、人によってはしんどいかもしれないけど、EDを迎える頃にはあの序盤があってこその映画だと感じられるので、長丁場だけど是非見てもらいたい。岩井俊二だけどそんなにカメラぶれたりもしないし。

 

 

Planetarian 星の人

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核戦争で荒廃した近未来の地球が舞台。メインになるのは、星の人を名乗り、各地のシェルターを失われた星空……プラネタリウムを見せながら渡り合う老人とシェルターで出会った子供達との交流を描く”星の人”編で、彼が「星の人」になるきっかけとなった青年時代のエピソード、放棄された都市で出会ったプラネタリウムのガイドとして作られたロボットの少女との交流が合間合間に挿入される。

2004年に発表されたヴィジュアルノベルの映画化作品。ただただ映像化してくれてありがとうという以外に言葉がない。クライマックスでは映画館でみていたのにも涙が顎まで伝うくらい泣いたし、多分今後もこれ以上に映画を観て泣く事はないと思う。

ただこれをみて大泣きするほど感動したのはあくまで原作ありきで、はたして初見で大傑作の太鼓判を押せるかというと残念ながら自信がない*2ので、まぁ次点かなぁというかんじ。

 

 

*1:ネタバレ:中盤でのフィッシャーと姉との対話の場面で、猜疑心からユダヤ陰謀論に染まっていくフィッシャーに対して、姉が「あなたのお父さんもユダヤ人なのに……」と諭すシーンが特に印象に残っている。

*2:あと、当然ながら美少女ゲームを受け付けない人に受け容れてもらうのは多分難しい